先日駒場園の板野悠己さんの施設ケアが変わる7つのゼロ≪実践講座≫に参加してきた人から素敵な研修資料をいただいたので公開したいと思います。

 

オムツ外しや個浴移行はできそうな人からやってみる。まずは成功体験から入る事が大事。

 

『7つのゼロ』は「自分がされたくない事は人にもしない」という心構えから。
「〇〇ゼロ」はインパクトが強い=職員に浸透しやすい。往診医も安易に薬を出せない。

 

意識の高い人、低い人を問わず結果が同じになる仕組み作りを。「意識を変えるより行動を変える。」

 

駒場苑は利用者55人に対し職員21名。各フロアーに利用者が約18名。
フロアー毎に個浴あり。午前2名・午後4名(一人あたり45分)。分業の必要がない。
マンツーマンだと責任感がでる。

 

毎日毎食同じお茶じゃ飽きるよね。「水分を飲まないと食堂から出れない方式」ってなに?

 

オムツ外し、便いじり等、精神薬やツナギを着せるより、本人の不快を取り除く事が大事。

 

《看取り》特養という場所に入った時から、看取りは始まっている。
こっそりと看取るのではなく、利用者・他利用者家族にもオープンにする。
亡くなったら隠すのではなく、利用者、他利用者家族、職員でお別れ会をする。
そこに参加する事で、利用者は「私もこうやって送ってね」、他利用者家族は「うちもこうやって皆で送ってくれるんですね」等、死について間近に感じる事ができる。

 

(亡くなられたおばあさん)改革前の駒場苑に入所していたが、暴言・暴力が多く施設を追い出され精神病院に入っていた。娘さんは目黒区の家族会のようなものに参加されており、「駒場苑はクソ施設だ!追い出された!」と訴えた。実際に当時は目黒区で最低の施設と位置付けられていた。坂野さんが就任後、当時から残っている相談員が「改革され変わった駒場苑なら、あの時のおばあちゃんを受け入れられるかもしれない」と思い、坂野さんに打診し許可を得る。病院では拘束され胃瘻も造設されていた。娘さんに連絡をとると「何よ今更!」と怒っていたが駒場苑へ戻ってくる。戻って来てからはオムツからパンツ着用でトイレ、入浴は個浴、胃瘻も外し生活される。しばらくすると唾吐きはあったももの、以前より落ち着いて過ごされる。娘さんは感謝され当時は無かった駒場苑に家族会を立ち上げる。娘さん「この会は駒場苑にクレームを言うためではありません。駒場苑の良さを外に伝える為の会です。」と話される。その利用者が亡くなった今でも家族会OBとして行事等を手伝っておられる。

 

基本的に勉強会はない。実践が最高の研修。楽しくないと学ばない。
例)接遇の悪い職員には接遇の研修に参加させても意味がない。むしろ接遇の講師にする。
(言ったてまえ、気を付けるようになる)

駒場苑には介護百人一首がある。(別資料参照)百人一首大会もあり楽しく学べる(景品はビール券)

《図書コーナー》

「バガボンド」・・・職業人のプロフェッショナルの心。
「テルマエロマエ」・・・お風呂の歴史。お風呂を好きになる。
職員だけでなく、利用者家族も借りれる。本で学んだ事を家族が発信すると看護師等が動く。

冒頭で坂野さんが最近腹が立ったことの紹介がありました。1月に駒場苑に入所したおばあさんの話です。目黒区の某有料老人ホームから来たその方は、入所時ツナギ服を着てバルーンカテーテル留置でした。問題は〝なぜ〟「ツナギ服」と「バルーン」だったかです。

理由はオムツを弄ってしまうからツナギ服を着せられ、トイレが頻回だらかというだけでバルーンを入れられていたという事でした。

ツナギ服に関しては身体拘束にあたりますが、何となくその理由は理解できましたが、バルーンに関しては非常に驚きました。トイレ頻回だからバルーンを入れるって発想はショックでした。

また、坂野さんは「よその施設に送り出すのにツナギ服を着せたままの神経が分からない」と言っていました。その施設では当たり前に行われていた事かも知れませんが、他の施設に移る時ぐらいは着替えないのかと感じました。
このおばあさんは駒場苑に来てその日にツナギ服は解除、更にしばらくしてバルーンも外れオムツから布パンツでトイレ誘導になったそうです。

しかしこれはその場に坂野さんがいたから行われた対応ではなく、坂野さんが不在で他の職員だけでもこのような対応をとれるような組織になっていたのです。

「カリスマのいらない施設改革」、「言う」ではなく「仕組み」を作った結果だと思いました。
施設でまず取り入れられそうなのは、「10時のお茶と15時のおやつを無くす(必ずあげなくても良い)」ではないかと思います。

今は必ず何かを飲ませたり、おやつを食べてもらわないといけない様な雰囲気があるので、もう少し自由な感じで「この人は食欲のある人だから大丈夫」とか「今日は疲れているみたいだから、おやつより寝てもらおう」等、臨機応変に対応出来たら利用者ももっとゆったりと過ごせるのではないでしょうか。

また食事に関しても、現在は実質1時間程度で全員が食べ終わらなければならず、介助が必要な方も多いです。結局早く起こされてもすぐに介助してもらえるわけではないので、早く起こすことに疑問が残ります。

仮に各食事時間が2時間確保できると、起きていて食べる人、寝ているから起こさなくていい人がでてきて、起きて来ない人がいる分食堂も広く使えますし、確実に覚醒してから離床し食事介助すれば誤嚥などのリスクも軽減されます。

普段通りの朝食で言うなら一番最初に起こされた方は、2時間半程度何も口に出来ず食堂にいなければならず、結局食事の時に眠ってしまいます。結果傾眠状態にあってもどんどん介助され誤嚥の危険も感じられます。

ゆったりと味わいながら安全に食事をできるよう、時間に幅がもてるかが一つの課題だと思いました。

駒場苑は利用者55名に対し職員が21名で、職員数は少ないですが、オムツゼロや機械浴ゼロといった取り組みができる事が凄いと思いました。

ワーカーの工夫や努力も必要ですが、介護職がやらなくてもいい事を増やすためには他部署やボランティアの力も大事なんだと感じました。

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