認知症の中核症状についてと、認知症の人の基本的な接し方について書いてみようかと思います。 まず中核症状と周辺症状について書いて行きます。

認知症の人の対応で困ること

認知症の人の対応で困ることとして

• すぐに立ち上がる。

• 暴力を振るわれる。

• トイレに行ったことを忘れる。

• 言ってることを理解してくれない。

• 何を行っているかわからない。

などがあると思います。 このようなことを周辺症状やBPSDと言います。 周辺症状に対応するには、その元となる中核症状を理解しなくてはいけません。 周辺症状の原因となる中核症状

中核症状には記憶障害、見当識障害、失語、失行、失認、実行機能障害などがあります。
それぞれの特徴とケアのポイントを紹介させて頂きます。

記憶障害

記憶障害は、新しい事を学んだり思い出すことができなくなります。そのために、同じことを言ったり聞いたりします。買い物に出かけたことを忘れ何度も買い物に出かけてしまったりします。

関わりのポイント

記憶障害のある人は一度にたくさんのことを覚えられなかったり理解するのに時間がかかるので、ゆっくりと話しかけます。
理解力が低下しているので一度に伝えることはひとつにします。
例えば「靴下と靴を履いて立ってください、食堂に行きますよ」と声を掛けたとします。
すると、靴下を履く、靴をはく、立つ、食堂へ行く、と4つの情報を伝えてしまっています。
記憶障害があると一度に4つのことを理解することが出来ない為、いつまでたっても行動に移せなかったり、途中で違うことをしたりしてしまいます。
その時にCWが「靴はいてっていったでしょ」や「早くして」などと言ってしまうと本人は不安な気持ちになります。
そのことが原因で不穏になってしまったり、手を出してしまうこともあるかもしれません。
その為記憶障害がある人には「靴下を履いてください」と伝え、履き終わったのを確認してから「靴を履いてください」と一つ一つ説明をすると、本人が不安になることは少なくなります。

見当識障害

見当識障害は、時間・季節・場所の感覚がわからなくなります。
そのため、今がいつなのか、ここがどこなのか理解ができなくなります。
なので、場所や時間ががわからなくなってパニックになることもあります。

関わりのポイント

見当識障害の人と関わるときはカレンダーや時計を使って時間を伝えると本人が理解しやすくなります。
トイレ等の場所がわからない場合にはトイレと大きく書いた紙を貼ることや、日常的にトイレの場所を伝え続けることが効果的です。

 

失語

失語は、言葉や文字の認識ができなくなります。
そのために、自分の話したいことをうまく言葉に出来なかったり、相手の言っている言葉が理解できなくなります。

関わりのポイント

伝えるときには言葉だけで伝えるのではなく、身振り、手振りを使いながら伝えると伝わりやすくなります。
また、聞くときは本人が一番もどかしい思いをしているので相手が不安にならないようにゆっくりと待ちましょう。

失行

失行は、日常的につかっていたものの使い方がわからない。
洋服の着替えや箸などを自分で使うことができなくなります。
一つ一つの動作につまずくとその後の動作もわからなくなってしまいます。

関わりのポイント

洋服を着たりするときには一つ一つ順序立てて説明します。
例えば上着を着るときは「まず頭を通してください」「次に右手です」など。
麻痺など障害によって難しいこともあるのでそのことも考慮して関わっていくことも大切です。

失認

失認は、そのものを認識することができなくなったり理解することができなくなります。
失認の人の見ている世界は他の人とは違うことがあります。
例えば床の色が変わったりカーペットが引いてあるとそこが穴に見えてしまったり、壁との距離感がわからなくなり壁に潰されると感じることもあります。

関わりのポイント

自分にはただの床でも本人の中では穴であったりするので、無理やり引っ張り進ませようとすると本人はものすごい恐怖感を感じます。
そのようなときは、介助のルートを変えたり、自分が先に踏んで見せて穴がないことを伝えることでスムーズに進むことが出来ます。

実行機能障害

実行機能障害は、普段何気なくやっている計画をたてることができなくなります。
例えば、カレーを作る場合では、
夕食にカレーをつくろうと思いつく。

買い物に行って材料を買う。

野菜などを切って、肉を炒め、カレーのルーを入れる。

味を見ながら焦がさないように煮こむ。
と無意識に計画を立て行動をしています。
実行機能障害のひとでは途中でカレーを作る事を忘れ肉じゃがを作ってしまったり、食器を洗っても汚れがほとんど落ちていなかったりします。

関わりのポイント

段取りがわからないことや、やっていても途中で途切れてしまう苦しさを理解し、最初の動作や次にすることについて声を掛けたり、手順を紙に書いて置いてあげることが大切です。

最後に・・・

高齢者の方の気持ちをくみ取ろうとして介護することが何より必要なことだと思います。BPSDを見つけた時には問題行動として捉えて行動を抑制するのではなく、BPSDをその方が困っていることを伝えるサインだと捉え、その意味や背景を考えることができるとより良い認知症ケアにつながるかもしれません。認知症のケアのスタートはまず疑問を持つことから始まります。利用者の行動に対し何故そういう行動をするんだろう?その背景には何があるんだろう?と考えて頂けるとうれしいです。認知症の人の起こす様々な行動は、私達介護者に対するメッセージとしてとらえてもらえるとうれしいです。

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