平均寿命が延びるにつれて、日本では認知症高齢者の割合が急増していることをご存知でしょうか?
現在の介護保険制度の要介護者の4人に1人は認知症と言われており、今後さらに割合が増える見込みとされています。
現状の治療としては根治することは難しいため、認知症に関しては予防が大事とされていますが、実際の認知症はいくつかの分類がされていることを知らない方も多いのではないかと思います。
今回は認知症の代表的な分類とその特徴について分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
【アルツハイマー型認知症】
タンパク質が脳に蓄積、増加傾向することで神経細胞が破壊され脳全体が委縮する認知症です。中でも記憶の中枢をつかさどる海馬を含む側頭葉が委縮するため、記憶障害の症状が強くみられます。比較的長期記憶は保たれる傾向がみられますが、固有名詞などの言葉はでてこず会話も抽象的になりやすいです。症状は緩やかに進行しますが非可逆的であり、身体機能は保たれるため、徘徊などの問題も生じやすくなります。
【血管性認知症】
まだら認知症とよばれる多くが血管性認知症に由来します。
脳梗塞や脳出血などの血管性の疾患によって生じ、血液循環の障害が生じた部位の神経が阻害され、脳の働きに低下を認めます。
ラクナ梗塞など小さな梗塞が多部位に生じている場合など症状がまばらにみられるといった特徴もあります。
症状としては歩行障害や構音障害、嚥下障害など神経由来な症状が身体に生じやすい傾向があるようです。
【レビー小体型認知症】
レビー小体と呼ばれる代謝物質が、脳の大脳皮質に多くみられ後頭葉の血流が悪くなる認知症です。症状が非常に変化しやすく、機嫌など感情の起伏も激しくみられます。
また、初期から幻覚や幻視があり、ケアで関わる際には無理に否定しないように医を付けることも大事です。パーキンソン症状や自律神経障害を伴うことが多く、すくみ足などの歩行障害や起立性低血圧、便秘などの症状もみられます。脳の萎縮は比較的軽度であるため、内服調整することで状態が緩和される場合もあるみたいです。
【前頭側頭葉型認知症】
前頭葉には判断力や抑制を司る働きがあり、側頭葉には言葉の理解に関する働きがあります。この前頭葉と側頭葉の両方が委縮するタイプの認知症を前頭側頭葉型認知症と呼び、65歳以下の若年で発症する割合が比較的高い認知症です。
典型的な症状としては常同行動や脱抑制などがみられ、物忘れなどの記憶障害はあまり見られません。規律や他人への配慮といったことを考えることが難しくなり、精神疾患と診断されることもあるため鑑別診断が重要となります。
【まとめ】
認知症患者の増加といっても原因も違えば、実際の症状も異なります。
認知症の方と関わる際には、原因についての情報収集がとても大事になるので、必ず最初に情報収集を行うようにしてください。
情報と照らし合わせながら関わりを持つことで、種類によってケアのポイントも若干異なることが分かるかもしれません。
認知症と一括りにするのではなく、診断の詳細と実際の症状を評価しながら対応していくことを心がけましょう。