スタンダード・プリコーション(標準予防策)という言葉をご存知でしょうか?
簡単に説明すると「感染症に対する標準的な予防策」のことです。
具体的には「感染症のあるなしに関わらず、すべての人に対して行う基本的な感染予防対策」のことを指します。
今回はおよび感染経路別対策も含めて感染対策について分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
【標準予防策とは】
標準予防策は感染のあるなしに関わらず全ての人に対して行われる基本的な感染対策のことです。
具体的には血液、体液、傷口などによる接触を感染の対象とし対応しなければなりません。
また必要に応じて個人防護具(ガウンやマスク等)の適切な着用、咳エチケット、環境整備などが行われます。
予防の中で最も効果的で大切なことは“手指衛生”です。
手指衛生で大事なのは「適切なタイミング」に「適切な方法」で行うことが奨励されています。
【手指衛生のポイント】
①患者に接する前②無菌的処置前③体液曝露の可能性④患者に接した後⑤患者周囲の物品
に接した後のいずれのタイミングでも必ず行うよう推奨されています。
基本的にはアルコール消毒ですが、できれば流水で洗い流すことが望ましいです。
手指衛生では洗い残しの多い部分などもあるため、ぜひ1度正しい方法を確認し、ご自身の手が感染経路にならないように心掛けるようにしましょう。
【感染経路別予防策】
感染経路別予防策とは標準予防策に加えて行う対策のことです。
経路としては①接触②空気③飛沫の3種類の経路による感染が主になります。
次で感染経路別に対策をお伝えしていきますね。
【接触感染】
最も頻度の高い感染経路で①直接接触②間接接触の場合の2つの経路があります。
感染症で多くみられる耐性菌のほとんどは接触感染の経路から生じます。
間接接触の感染は適切に手指衛生が行われなかった、患者、利用者ごとに使用物品が交換されなかったなどの原因があります。
対策としては接触前後での手指衛生や個人防護具の適切な使用および交換、場合によっては個室隔離が必要で、保菌者のケアに使用される器具は個人専用にするのが望ましいでしょう。
【空気感染】
咳やくしゃみなどで放出された飛沫が蒸発した際に長時間浮遊し空気を媒介として感染するものを空気感染と言います。
主な感染症としては結核や麻疹があり、環境対策としては独立空調で個室管理が原則となっています。
結核の際はN95微粒子用マスクの着用が必要で、入退室時以外は部屋の扉を閉めておかなければなりません。また空気を介して感染が拡大するため、必ず施設での対策は統一しておきましょう。
【飛沫感染】
空気感染より大きめの飛沫がくしゃみや咳を介して、口腔粘膜や結膜などの粘膜に付着することによって感染する経路を飛沫感染と呼びます。主な感染症としてはインフルエンザで、対策としては標準予防策に加えてサージカルマスクの着用および適切な距離(1m以上)を保つなどの対策が必要となります。
【まとめ】
基本はまず“手指衛生”を徹底することが感染予防としては大事です。
定期的に感染対策や経路についても確認・統一を行い、私たち自身が感染を拡大させないように気を付けていきましょう。