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介護は開発・・・
「介護は開発なんだよ」─これは、私が介護施設に入ったばかりの頃、先輩の職員から教えてもらった言葉です。
介護のスキルを上げるために講習などに参加して様々な介助方法を学びますが、そこで学ぶことは基本的なことであり、大切なのはその基本に従った上で『もっとこうした方がやり易い』『もっとこうした方が入居者にも負担がかからないような気がする』といったものを常に見つけていき、実践していく。
その繰り返し。
その姿勢が大事であると教わったわけです。
私はどちらかというと怠け者な性格なので、介助をする時は常に『如何にすれば、もっと速く、且つ質の高い介助を提供することができるのか』を考えて仕事をしています。
そこで、今回はよい機会ですので、そんな私が個人的に『やり易い』と感じた介助方法として、着脱介助を例にいくつかご紹介させていただきたいと思います。
くつ下の脱がせ方は、かかどの角度を緩めて引っ張るだけでよい!
入居者の着脱介助をする時、くつ下を脱がせたりすることがあると思いますが、皆さんはどのように脱がせているでしょうか。
周りの職員のやり方を見ていると、両手で一生懸命に脱がしています。
足の太い入居者だったりすると少し大変そうで、脱がせるのにも時間が掛かったりします。
そこで私が提案するのは、『左手の中指をくつ下の裾に入れ、右手で引っ張る(右利きの場合)』やり方です。かかどの部分は直角なので、くつ下を脱がせる時にどうしても引っかかるのが難点です。
そこで、左手の中指をくつ下の裾に入れ込んで角度を緩めてあげるだけで、後は右手で引っ張るとわりと簡単に脱がせることが出来ます。
このやり方だと、1〜2秒もあればどんな足の方でもラクに脱がせられます。
足の太さなどは関係なく、逆にくつ下を履かせる時は、最初に足指の部分だけを履かせたら、後はかかどの部分をなぞるようにすると、かなり簡単に履かせることができます。
上着を着せやすくするコツは、下着の肩のラインを合わせるべし!
入浴後やパジャマなどの更衣介助でシャツを着せる時、皆さんは何を意識しているでしょうか。
着患脱健はもちろんですが、私はそれプラス『下着のシャツの肩部にある縫い目のラインをきちんと合わせる』ことを意識しています。
服の構造を考えれば普通なことなんですが、例えばピチピチのシャツを着た時に「何となく着心地が悪い」と感じた時は、決まってシャツの肩部の縫い目のラインがズレていることが多いのです。
それが自分の場合であれば良いのですが、介助の場合にそうだと、例えば服を着せてしまってから後ろ前であることに気がついたり、ズボンの中にシャツの裾を入れる時、力任せに入れてしまいがちになり、結果的に型崩れな着せ方をさせてしまいます。
如何に速く、如何にキレイな着せ方をするためにすべき事は、『下着のシャツの肩のラインをきちんと合わせる』これだけで実は大丈夫なんです。
体型がふくよかな入居者の場合でも、この下着のシャツの肩のラインを合わせることさえ気をつけていれば、きちんとした更衣介助を実践することが可能となります。
ズボンをきちんと履かせるコツは、腸骨にズボンのゴム部を引っ掛けるべし!
寝たきりの入居者のズボンを履かせる時、皆さんはどのように介助しているでしょうか。力任せで履かせたりしているでしょうか。
実は、非常にラクに履かせる方法があります。
それは、『ズボンのゴム部を入居者の腸骨に引っ掛ける履かせ方をする』です。
腰の側面辺りに触れると出っ張っている骨の部分があると思うのですが、そこが腸骨になります。
ズボンを履くときに心地よいと感じる時の条件は、『ズボンのベルト部分、またはゴム部分が腸骨ラインより上の位置に着た時』であることに気がついたのです。
よって、側臥位にする前にまずどちらかの腸骨にズボンの裾を引っ掛け、その後に側臥位にすれば、非常にラクに履かせることができます。
要介助者はだいたいスウェットやスポーツウェアなど伸縮性に富んでいる衣類を着ていることが多く、その場合は衣類の元の形に戻ろうとする動きも合間うため、より相乗効果が期待できるわけです。
いかがでしたでしょうか。基本的な着脱介助ですが、自分なりの感覚も踏まえてご紹介させていただきました。
体型がふくよかな方や寝たきりの方など、条件によっては着脱介助がやりづらい場合もありますが、以上の点を押さえていただければ、少しはやり易くなるかもしれません。
介護はその時だけ行うものではなく、これから先継続して行っていくことを考えなければならない為、介護者の肉体的負担を極力解消させることを考えなければなりません。
力任せの介助だと今なら良いかもしれませんが、時が経って老老介護になってくると非常に負担が強くなってきます。
やり方によっては疲れや負担も軽減しますので、介助をする時は如何にラクにできるかが重要となります。皆様の参考になれば嬉しいです。