認知症の人との関わり
認知症の初期の段階ではわからない自分とわかっている自分がいて、ご本人も混乱しているので、険しい顔をしていたり、不穏状態になったり、攻撃的になったりされます。
できないということをご本人自身が認められない、認めたくない段階です。
そんな時の介入は、命にかかわること以外は本人の意向に寄り添いながら、信頼関係の構築をまずは考えることが良いと思います。
「この人は私のために何かをしてくれている。」と思ってもらえば、そこからの関わりは結構、スムーズに介入できていきます。
「わからないことは、この人に聞けばいい、自分で覚えておかなくても、この人が覚えておいてくれる」と思ってもらうと比較的、安心して生活ができるようです。
自分でしなくてはいけないとか、失敗したことで、ばかにされるもしくは怒られるというふうに感じてしまうと不安に感じてしまい、拒絶することも多くなります。
違っていても、本人の意向に寄り添うことで、自分を認めてもらえたと認識してもらうことが大切だと思います。
認知症が進行すると、今、言ったことも忘れてしまい、何度も同じことを聞かれたり、同じ行動をされたりすることが増えてきます。
認知症が進行しても、何かのスイッチがあるのか、記憶として残っていることもあります。
どのようなシステムなのかはわかりませんが、ご本人の意識の中に深く刻まれるきっかけがあるのだと思います。それは個人差があって、どの方も同じ方法ではうまくいきません。
優しく何度も説明をしたり、時には厳しく言ったりすることも効果があったりします。その方のこれまでの生きてきた経歴なんかも左右するのかもしれません。
今まで人との交流がたくさんあった方などは、少し会話しただけでは認知症かどうかわからない人もいます。
しっかり、自分でなんでも答えることができるからです。そんなしっかりしている状態を作ると案外、覚えておられたりすることもあって、こちらがびっくりすることがあります。
認知症の方は、角度を変えて見ると、いつも自然体です。やりたいことをやり、気になることに興味を向けてしまい、時にはおむつと外したり、歩けないのに歩いていたころを思い出し、歩きだそうとしたり、会社に行かないといけないと思って、出かけたりするのです。
ご本人の思いを十分に理解する方法を見つけることで、信頼関係が築けます。
本当に自分のことをわかってくれていると安心している方の笑顔はまるであかちゃんの微笑みです。
その笑顔を見れると自分も笑顔になれて、心がほっとします。
この出会いに感謝できます。