認知症の介護に携わる際に知っておきたいパーソン・センタード・ケア
認知症になってしまうと、記憶の低下や徘徊や暴力などの問題行動が増え日常生活で介護する場面が増えてくるのはご存知ですよね。
だれもが、認知症の方の尊厳を最期まで遵守したいと思っているとは思いますが、実際の介護現場は人手不足をあり、業務が優先になることも少なくありません。
今回は認知症の方に寄り添い、相互に信頼関係を構築する「パーソン・センタード・ケア」について分かりやすく説明したいと思います。
【パーソン・センタード・ケア】
イギリスで提唱された世界共通の認知症ケアの概念で年齢や健康状態に関わらず、ひとりひとりの個性に応じた取り組みを行い、認知症の方の視点や人間関係を重要視するケアのことをパーソン・センタード・ケアと呼びます。
残念ながら認知症の方に関しては尊厳がないがしろにされることもあり、人として扱われない場合も少なくはありません。
もちろん介護者の方の負担も大変ではありますが、認知症の方の状態を良くしようといった思いから生じたのがパーソン・センタード・ケアの概念です。
【実践するうえで大切な事】
パーソン・センタード・ケアを実践するうえで大事なのは「パーソンドフット」になります。
これは「一人の人として周囲に受け入れられ、尊重されること」を言います。
認知症の方の状態には、脳の障害、健康状態、性格、生活歴、社会心理の5つの要素が関連しています。
ケアを実践するためには、その方の視点から、この5つの中で満たされてないニーズを探っていくことが重要になります。
当然満たされないニーズに関しては同じ認知症であっても5つの要素から考えると、個人個人で異なりますね。
例えば、思うように手が動かせず茶碗も持てない、食べているものが何か認識できないなど同じ食事場面一つとっても個人個人でニーズは異なります。
その方の視点に立って如何に5つの要素で悪い状態を見つけるかに注意する必要がありますね。
【実践するためのポイント】
しかしいざ実際にパーソン・センタード・ケアに取り組もうと思うとなかなかどのように始めればよいか分からないですよね。
大事な点として認知症の人の視点に立って3つのステップを繰り返し行うことで、よりパーソン・センタード・ケアは向上していくとされています。
3つのステップとは①思いを聞く②情報を集める③ニーズを見つけるといった3つでこの3つを繰り返し行い評価、実施していくことが大切です。
認知症の方の親身になって話を聞き、本人から得られない情報や生活歴などを収集し、実際の生活や様子からニーズを見つけるプロセスを心がけケアをすることが上達への近道です。
【まとめ】
パーソン・センタード・ケアを心がけ認知症の方に関わることで、認知症の方の状態が更に悪くなることを予防できることが分かっています。
「よくない状態」に関連している要素を評価し、どのようなニーズがあるかを介護者間で共有しケアを行えるような環境作りが大切です。
認知症だからとあきらめるのではなく、どうすればその方のいい状態が継続できるかをみんなで考えていくことが、パーソン・センタード・ケアに繋がるので今からでも心がけてくださいね。