明日からでもユマニチュードをケアに活用してみよう
2025年の日本は団塊の世代の方が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の5人に一人が75歳以上という高齢化社会を迎えます。
中でも深刻な問題が高齢化に伴い増えている「認知症」です。
暴力や暴言、徘徊など認知症による様々な問題がありますが、メディアで取り上げられているのはまだまだ一部ではないでしょうか?
特に介護や医療現場で働く方は、認知症の高齢者と接する難しさを感じている方も多いと思います。
ここでは認知症の方への対応として注目を集めているユマニチュードについて分かりやすく解説していきます。
【ユマニチュードとは】
ユマニチュードとは認知症の方へのケアの方法のひとつでフランス語では「人間らしさ」を意味します。
基本的な概念としては①見る②話しかける③触れる④立つといった4つの事を中心に関係を築いていきます。
技法としては150以上のケア技術がありますが、どの技法も上記の4つの技法を組み合わせ行われています。
【方法】
まず見ることですが、ポイントは視線の高さと見つめる時間が大切です。視線の高さについては相手を上からのぞき込んだりしないよう、ベッドサイドや車椅子の方には腰を落として同じ目線の高さでコミュニケーションをとることが大事です。その際ユマニチュードでは0.5秒以上お互いの目を見つめあうことがポイントです。
次に話しかける際のポイントですが、穏やかにゆっくり話すことが重要です。
話しかけるのが苦手な方は、実際に今から自分がケアで行うことを口に出して話しかけることも有効です。
触れることについては触れあうことでお互いに安心や安らぎを与えることができます。触れる際は手のひらで優しく包み込むように触れる方法が推奨されています。
立つというのは、人間が移動するうえで必要な動作です。寝たきりの方であってもベッドをギャッジアップしたりリクライニング車いすを使用するなど目線の高さを変えることで自身への認識が強まる傾向があります。
【効果】
ユマニチュードの効果としては認知症の中核症状であるBPSDが緩和される傾向があるとの報告があります。
「人間らしさ」を尊重されることで自身の役割を持つことが症状の緩和につながり、認知症状の進行の予防に作用します。
また触れあいを通じて家族やケアを行う側にも安心感や安らぎを与える効果がみられる傾向があり、お互いの信頼関係の構築にもつながりやすいと言えるでしょう。
【まとめ】
ユマニチュードは高齢者や認知機能が低下した方に対して感情、言語、知覚による包括的なコミュニケーション技法です。様々な技法がありますが、日々のケアにすぐに取り入れることも多くあり、お互いの関係づくりの一助ともなります。
「認知症だから」ではなく「人間らしさ」に注目し、ユマニチュードの概念を介護現場でのケアにもっと活用していけると、様々な困難なことも解決できるかもしれませんね。
ぜひ日々の中でユマニチュードで取り入れることを見つけていきましょう。