人はどんな時に安心を感じることができるのでしょうか?

ゆっくり休んでいるとき、一仕事終わってほっとしているとき、人によって安心や安らぐ環境は異なると思いますが、しんどい時や辛い時に人に優しく触れられると気持ちが安らいだ経験はありませんか。

近年の日本では、核家族や単身世帯の増加により他人とのコミュニケーション不足が取り上げられることが多くなってきています。また、高齢人口の増加により介護を必要とされる方の多くも、認知症や不安症状に対するケアが行き届いているとは言えません。

ここでは「触れる」ことにより誰しもが行える「タクティールケア」について解説していきたいと思います。

 

【タクティールケアとは】

タクティールケアとは触れるというタクティリスに由来する言葉で、手を使って相手の体を優しく触れるのがタクティールケアです。指圧やマッサージなどとは異なり、手でやわらかく包み込むように触れていきます。タクティールケアの時間は約10分程度でその間は手だけのコミュニケーションを基本とし、話しかけることは控えるようにします。

 

【対象は?】

もともとタクティールケアとは未熟児を対象として1960年代に開始されました。

看護師によるタッチによって体温の安定などの効果が得られ、現在は乳児から高齢者まで幅広く用いられるようになりました。

昨今では介護現場で認知症の方を対象として施術されているケースも多くなってきています。

 

【どんな効果があるの?】

タクティールケアでよく効果として目にするのは「オキシトシン」の分泌を促す作用があることではないでしょうか?

オキシトシンとは脳から分泌されるホルモンのひとつで最近の研究では「ストレスや不安を和らげる」効果があることが明らかにされました。

血液中にオキシトシンが分泌されることで、痛みや不安、ストレスを和らげる、もしくは感じにくくする作用もあると言われています。

 

【介護の場面では?】

介護の現場ではやはり「認知症緩和ケア」として効果をうまくケアに活用することが望ましいでしょう。

具体的な効果としては「BPSD症状(認知症の中核症状)の緩和」などが挙げられます。

また、怒りっぽくなった方の表情が和らぐなど、精神面への影響もみられます。

認知症の方は、新しい環境や人間関係を構築するには時間がかかる場合が多いです。中には触れられることを嫌がる方もいるので注意が必要ですが、ケアの中で触れ合う機会を設け、徐々に信頼関係を築き上げる手段として有効ではないでしょうか。

もちろん施設などだけではなく、ご家族が行える介護ケアとしてもタクティールケアは用いることが可能です。

施術する側にも思わぬお礼の言葉を頂けるなどモチベーションアップにつながることも少なくないみたいです。

 

【まとめ】

タクティールケアとは触れあうことで不安感やストレス、痛みを感じにくくすることができる非言語的なコミュニケーション技法のひとつです。

方法としては優しく手で触れるので、誰しもが行え日々の介護の現場やご家族の関わりなどのなかでも活用することが可能です。

触れあうことで、ケアを受ける側の方との信頼関係も構築され、施術側にもお互い癒される効果もあり双方にとってメリットがあります。

これからより介護の現場でのストレスなどが問題となることが予想されるため、ぜひ一度タクティールケアについて試してみてはいかがでしょうか?

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