介護施設で絶対にウケるレクリエーション3つとレクリエーションの意義

レクリエーションという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

インターネット等でその意味を検索すると、『余暇(自由裁量時間)を利用して、自発的に、ゆとりと楽しみを創造すること』とあります。

今回は、このレクリエーションについての記事をまとめていこうと思います。

目次

レクリエーションのあるべき姿とは?

レクリエーションの定義は冒頭で述べた通りですが、これについてもう少し深く追究してみましょう。

まず、余暇とは一体どういう時間をいうのでしょうか。

辞書で調べると、『仕事などから解放され、自分が勝手に使える時間』とあります。

この意味を踏襲すると、レクリエーションとは本来自分が勝手に使える時間を自発的に利用するものなので、例えば参加したがらない利用者を強引に参加させたり、利用者が他にやりたいものがあるのにそれを半ば強制的に中断させて参加させる、といった行為は適切ではありません。職員側の事情ではなく、利用者の事情を尊重することが大切です。

レクリエーションの性質として、ゆとりと楽しみを“創造すること”とあります。

創造とは、新しいものを作り出すこと─つまり、普通の生活を送っているだけでは気がつかない、分からない、気持ちに変化がないといったものを『気がつく』、『分かる』、『気持ちが変化する』といった発展的なものにシフトさせる目的がレクリエーションにはあるということです。

創造する目的とは、何かを『変化させる』ことであり、そのためレクリエーションを考える際は、『何を変化させるためにそのレクリエーションを考案したのか』を第一のテーマに掲げます。利用者の気持ちや感情を変化させたいのか。

あるいは、環境を変えてあげたいのか。レクリエーションを実施した際は、そういった変化が利用者にみられたのかを観察することも大事なことでしょう。

レクリエーションを考案する際に注意すべき要素とは?

レクリエーションを考案する際は、まず実施する対象者が誰であり、その対象者が『自発的に、ゆとりと楽しみを創造することができるもの』でなければなりません。

例えば、利き手に麻痺がある利用者の方にぬり絵を提供したり、細かい字が読めない利用者の方に読書の時間を設けるといったものは、レクリエーションとしてはあまりふさわしいとはいえないでしょう。

楽しみを創造していただく前に、過度なストレスを与えてしまうかもしれないためです。レクリエーションはリハビリではないので、実施する前に対象者のADLや認知機能などをあらかじめ吟味し、それに合わせた性質のものを提供するようにしましょう。

また、人というのは多かれ少なかれ、プライドというものがあります。

例えば、あなたは誰かから「計算問題を解いてください」と言われ、『1+7=□』といったレベルの問題を出されたとします。

そして、それを解いた後に「すごいですね!」と声掛けされたら、あなたはどう感じるでしょう。

素直な気持ちで言うのなら、「どこがすごいの?」と思うのではないでしょうか。こういった気持ちが発生した状態で参加しても、果たして楽しみを創造させることができるでしょうか。

このように、レクリエーションを実施する際は、その内容が個々人のプライドや意欲を損なわせてしまうものでないかどうかも考慮しておく必要があります。

更にレクリエーションでは、『成功体験をしていただく』ことも重要です。人が『楽しい』という感情に行きつくためには、『成功体験』という過程を経る必要があります。

『いつも上司に怒られてばかりだったが、今日は仕事で褒められた』、『難しい数学の問題が、スラスラ解けるようになった』、『ダイエットすることができた』、『運転が怖かったが、回数を重ねる事でその恐怖心を克服した』─このような経験を経た後に湧き上がってくる感情が、いわゆる『楽しい』といったものでしょう。

楽しみの感じ方は様々ありますが、レクリエーションで提供する『楽しみ』というのは、『成功体験を具現化させること』ということです。

例えば、関節リウマチによって指が変形してしまった利用者へ折り紙をするように勧めたとして、その完成型がいびつであったとしても、折り紙を最後まで折る事は成功しているわけです。そこで「上手ですね!広間のテーブルに飾っても良いですか?」などと声掛けし、自分が完成させたことを誰かに評価してもらえたと感じていただくことが重要です。完成させて終わりではなく、その先にも何か役割があると感じる事によって、レクリエーションに対する意欲も維持向上されていくと思われます。

高齢者向けレクリエーションのご紹介

では、具体的にどのようなレクリエーションを考案してみたらよいのでしょうか。ここでは『介護施設に入居している高齢者』を対象としたレクリエーションを考えていきます。

まずは、概ね参加するだろう高齢者コミュニティのADLや認知機能を確認します。移動は主に車椅子メインだが、自操は可能である。片麻痺の入居者もいるが、健側は比較的自由が利く。軽度の認知症を有する方もいるが、簡単なコミュニケーションは可能。高齢者コミュニティの性質が、このようなものであったとします。

これらを踏まえ、どのようなレクリエーションを提供したら盛り上がるでしょうか。例として3つほど以下にご紹介します。

①風船バレー

これは非常にシンプルなレクリエーションで、膨らませた風船をいくつか用意し、それを利用者に向かって叩きます。すると、風船が近づいてくるので、利用者は反射的にそれを打ち返します。打ち返された風船がどこへ飛んでいくのかは、誰にも分かりません。ただ、風船が近づいてきたときは身体が反射的に反応し、それがエンドレスに続くといったものです。

このレクリエーションのねらいは、『笑顔や反応を引き出す』ことです。風船はどこへ飛んでいくか分からないので、急に自分のところに来たら、利用者はびっくりします。その驚いた表情を見て、可笑しくて笑ってしまう方もいます。

また、認知機能が低下し、動作も緩慢ぎみである利用者の方も、継続して風船バレーをやっていくうちに、打ち返すまではいかなくとも、風船を追視したり、手を動かそうとしたりなどの反応がみられることもあります。シンプルではありますが、様々なものを引き出す事ができるレクリエーションの一つです。

②魚釣りゲーム

これは準備に手間が掛かりますが、『成功体験』ができるレクリエーションの一つです。

まず、画用紙などに数種類の魚のイラストを描き、色を塗ります。次にその魚の口の部分にクリップをつけます。これで魚の準備は完了です。

次に、釣竿を作ります。50cm程度の手に持ちやすい棒を用意し、その先にタコ糸を括り付けます。

そして、そのタコ糸の先に百均で売っている磁石を結びつけます。

何となくお分かりかと思いますが、その磁石を使って、魚釣りを疑似体験するといったレクリエーションです。

このレクリエーションの場合は、車椅子に座りながらでも行う事が可能であり、更に釣ろうとするとタコ糸が揺れるため、程よく難易度もあります。

他にも魚に多少の重りを付けたり、大きさのバリエーションを増やしたり、大きいクリップや小さいクリップを多用することで難易度を少し高めていったりなど、様々な要素を付け加えれば、程よい刺激を得ながら楽しむことができるかと思います。或いは、こういったものを利用者と一緒に作るのもよいかもしれません。

③伝言ゲーム

これは、準備などは特に必要ありませんが、参加する利用者の数が多ければ多いほど楽しめるレクリエーションです。

参加者が20人程度おりましたら、まず1010に分けて簡単なチームを編成します。

そして、職員が「今から言葉を伝えますので、それを次の人に順々に伝えていってください」と声掛けし、例えば1人目の方に『さくらんぼ』と伝えます。

高齢者の方には耳が遠い方などがおりますので、なかなか正確に伝言されていかず、いろんな言葉に変化していきます。

そして、最後の方に伝わった伝言が正確かどうかの答え合わせをし、どういう言葉に変わったかを楽しむといったものです。笑いのツボが『キーワードの変遷』であるので、例えば認知機能が低下している利用者の方でも気にせず楽しむことができます。

レクリエーションはこれ以外にもたくさんありますが、高齢者向けの場合、なるべくシンプルであり、複雑なルールを必要としないものがよいでしょう。

 

今回は、レクリエーションについて書いてみました。

デイサービスやグループホームなど、様々な場面で営まれているものですが、施設を利用している方々の一日の生活というものは、外界とほとんど接点を持っていない分、非常に低刺激なものになりがちです。

レクリエーションを実施するのは、そういった生活に適度な負荷を与え、認知機能の低下を抑えたりするといった目的もあります。

事実、成功体験を継続的に体感していくと、認知機能を見る指数であるHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)にも変化が認められることが分かっているという報告もあります。

レクリエーションについてもっと詳しく知りたい方は、レクリエーション・インストラクターという資格もあります。この資格を得ると、毎月レクリエーションについて紹介している冊子が郵送で届くため、より専門的に知識を深めることができます。機会がございましたら、一度チェックしてみてください。

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